君はこうなる!5年・10年 【 我が社の「若手育成計画」大公開! 】
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「つぎのアタリマエ」を生み出す “志”あるベンチャーマインドと成長意欲

株式会社ネットプロテクションズ

代表取締役 社長 CEO

柴田 紳

ネットプロテクションズ

通信販売を利用するユーザー心理として根強くある「商品到着後に支払いたい」ニーズ。一方で、未回収の損益や経理業務上の手間を考えると、なかなか「後払い」可に踏み込めなかった売り側の事情。『ネットプロテクションズ』はそのギャップに着目した。
「eコマース」に新しい標準を…と、2002年に通販向け後払い決済サービス『NP後払い』の提供をスタート。新しい事業構築としての紆余曲折はあったが、現在導入店舗は約23,000店で業界トップの実績。累計ユーザー数も7,000万人を突破し、代金を支払う側・回収する側双方にとって安心かつ安全な決済システムとして定着している。
他にも、リフォーム・工事・配送などの訪問型サービスでの決済業務一式を受託する『NP後払い air』、企業間での取引を支援する『FREX B2B後払い決済』など新しいサービスを展開。後払い決済事業開始以来15年目にして、70億円を超える規模にまで成長した。
堅調な事業拡張を遂げる『ネットプロテクションズ』の柴田社長に、成果の背景と今後の展望、さらにそれを支えるメンバーに対する思いを聞いた。


確信だけを頼りに築いた独自の「後払い決済」ビジネスモデル

2001年に商社からベンチャーキャピタルへ移籍し、すぐに『ネットプロテクションズ』への出向が決まりましたが、危機的な経営状態に驚きました。とにかくまずは収益性のあるビジネススキームを成立させることに全力を尽くしました。
当時「後払い決済」は、通販の支払い方法のひとつとして既に存在していましたが、専業事業としてリスクを保証する企業はありませんでした。需要を確信してはいたものの、前例のないものに取り組む大変さを嫌と言うほど味わいました。周りからの応援もなく、恐怖しかなかった時期もありました。何度も心が折れそうになりながら、理論上は絶対に成功するという自分の中での結論だけを信じて必死に走り続けた感じです。

未払いのリスクコントロール、オペレーション・コストの抑制など、クリアすべき課題が次々と出てきました。
中でも一番難しかったのは、膨大なデータの管理です。1件あたりの収益が小さいビジネスなので、そもそも相当数の取扱い件数が必要となります。短期間に認知と理解を広げ、導入・契約者と利用者の両方をどんどん増やす。しかもバランス良く。さらにそのデータをきちんとマネジメントする。ここには本当に苦労しました。

拡げる一方で、事業を合理的に運営することにもこだわってきました。目ざしたのはできる限りナレッジ化すること。標準化を進めていけば、数名の正社員の管理のもと、実務のほとんどを非正規メンバーや外部ブレーンに依存できる効率的なシフトが可能になります。ここでの実績が、現在の弊社独自の業務スタイルにつながっていますね。

本格的な手応えを感じるまでに5~6年掛かりました。今ならもっと早かったはず。資金の確保やPRの手段もずっと多様化していますからね。
この数年で、他社が「後払い決済」業界に続々と参入しています。でも、規模を拡大しながら維持していくことがやっぱり難しい。だから、今のところ強力な競合はなかなか現れていません。諦めずに地道に積み上げた信用とノウハウで築いたビジネスモデルは、どこにも負けないと自負しています。

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信用とノウハウの先に拡がる新しい標準の可能性

与信管理とオペレーションのノウハウを、「BtoB」の領域にもっと活かしたいです。掛売りなど日本の商習慣を考えると、ニーズは絶対にあります。メーカーと小売店やサービス店舗の間の決済の円滑化が支援できたらいいですね。

「BtoC」の会員制ポイントサービス『フフルル』も次のステージへ昇華させたいです。会員登録をしてくださった利用ユーザーにポイントを付与しています。おかげさまで会員数も100万人を突破しました。
今後は、クレジットカードに近い仕組みを低価で提供できたらもっと喜んでもらえるでしょうね。規模や管理データを活かしたキャンペーンなどの販売促進への展開もできるし。会員との関係を強くしていけば、利用の継続化や与信の面でのメリットも大きい。最終的には巨大な「プラットフォーム」事業を目ざしていけそうな気がしています。

保有している大量の顧客と事業者の情報をマッチングさせることができれば、融資や広告系事業、貿易のジャンルでももっと活用できるはずです。支払い・決済はどんな業界にもありますからね。日本の商取引のありとあらゆる領域に展開できると思っています。また一方で、弱い企業・人の信用力を上げるサポートができれば社会的意義もある。新しい常識「つぎのアタリマエ」づくりの可能性は無限ですね。

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全員が経営視点で自立。そして生まれたフラットな環境

「経営型人材」が必要です。
新しい事業を次々と生み出していこうとする中で、専門性以上に「全体最適」を俯瞰的に見通せる視野を持ったメンバーの採用を優先しました。そのスキルは必ずしもキャリアとは比例しない。だから、2007年からは新卒採用もスタート。役割や機能を分担する組織ではなく、ひとりひとりがきちんと自立した体制を目ざし、大きな改革に本格的に舵を切りました。正直、途中軋轢もありましたが、ここ数年で急速にいいカタチになっている手応えがあります。

これからも、事業運営・経営・マネジメントをやりたいと思っている人たちと一緒にやりたいですね。難しいことにやりがいを感じられる人材に来てもらいたい。セールスもオペレーションもわかって、システムやリスク管理にも目を向ける視点の高さがあって、コミュニケーションにも長けたゼネラリスト。確かに要求水準は高いかもしれませんが、今は自然とそんなメンバーが集まってきています。

現在のスタッフの総数は約230名ですが、正社員は約80名。そのうち50~60名は新卒層で、平均年齢は28歳。とにかく若いです。
ほとんどの社員のワークスタイルは、企画・設計・マネジメントに没頭する感じ。何をどう進めたらいいかを考えて、構造化し推進する。ある程度のナレッジが蓄積されてきた時点で、活動のルーティン部分は非正規メンバーや外部ブレーンに任せる。そして自分は次のミッションへ。

「ビジョンシート」という、自分のしたいことを自主申告したり異動を希望したりする制度を設けています。会社としての大きな方針から逸脱していない限り、できるだけ希望を許容しています。結果として、それぞれが自分の本来の職域から浸み出して独自のポジションを作っています。
社内での競争とか比較の感覚がなくなりましたね。チーム間の壁や牽制みたいなこともないし、上下関係すらほとんど希薄で、とんでもなくフラットな会社です。

経営理念は絶対に重視。ただし個人の意思や希望は最大限尊重する。そんな考え方がしっかりと浸透し定着してきた実感があります。マネジメントの立場からすると、ある意味個人の自立心を図る育成方針でもあるんですが、全員が嬉々としてその状況を受け入れてくれています。手前味噌ですが、みんな若いけど成長速度も早い。優秀ですよ。

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厚く熱い新人育成。自立のための孤立阻止

新卒採用は年々増やしていて、ここ3年で40名。そのひとりも辞めていません。
面接は、1対1で全員と毎回1時間以上じっくりと話し込みます。お互いに人柄や考え方をある程度わかるまで。大事な採用には時間も手間も掛けます。だから自信もあります。

新人育成は多層的に運営しています。これも現場がリードしています。
ひとつは「コミュニティ」の観点からの新人を孤立させないプログラムです。
新人だけのプロジェクトチームを設け横の関係を維持。また、「全員メンター制度」により、期間単位でチームを超えて関わり斜めの関係を維持。それに、本来所属するチームでの先輩・後輩の縦の関係を加え、「縦・横・斜め」全方位からつながって、新人それぞれが、社内のどこかで必ずいい居場所・いいコミュニティを持てるように心掛けています。
入社半年後からは、私と新人4~5名ずつでの月イチ「雑談会」も実施しています。経営に関する質疑応答を中心に、ざっくばらんにビジョンや価値観などについて話し合う機会をつくっています。これも縦の関係のひとつとして。

もうひとつは、決済事業の難しさや企業環境を短期間に理解してもらうため、入社から半年間の「新人研修プログラム」を別途設定しています。
自社の提供価値は? 事業の仕組みは? 今の事業課題は? その改善策は? 次の事業の可能性は? 業績から成果と問題点をどう読むか?…などをディスカッションし、経営目線でモノを考える訓練を課しています。

「インターンシップ」もかなりユニークだと言われています。
毎年好評で、参加者の満足度評価も高く後輩への推薦も多いですね。今年も20倍の応募率でした。
1チーム4~5名で、「どんな社会を目指す事業をつくりたいのか?」というテーマを中心に、徹底的に考えて、自分なりのロジックを駆使して、5日間連続で議論してもらいます。刺激的な体験みたいで、インターンシップを経ての応募の率もかなり高いですよ。もちろん運営は全てメンバーが担っています。

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「機会提供」と自立をサポートする風土づくりが自分の仕事

「三層経営」だと思っています。
一層目の経営の土台は、会社がコントロールする。その土台を活かしての次の事業展開は、社員が個人の「will」に基づいて作っていく。だから二層目には何が出てくるかはわからない。そしてそれを突き詰めていくと、もう会社の枠組みの中でマネジメントしていくのは難しい。そうなれば独立してもいい。条件が整えば協業も子会社として支援することもあり得る。それが三層目。スケールアップしたメンバーが社会に飛び出していくのは必然です。ある意味「学校」であり、私は「コーチ」なんじゃないかなぁと。

次元の高い「志」を持ったメンバーに、きちんとした機会を提供することが私の仕事です。
成長したい意欲。明確に「こうしたい」という志向。絶対に成功させるという信念。社会の役に立ちたいという純粋な職業観。多少自意識が強くても、そんな自己主張や個々の独自性を認めるからこそ、事業自体も拡がっているんです。一途な思いに応える柔軟な環境があってこそ、新しいものが生まれ、それが上手く成熟し、次の常識…「つぎのアタリマエ」になっていくはずなんです。

メンバーそれぞれが自分らしく生きられて、楽しくて、その結果社会にも貢献できて、それがまた嬉しくて。そんな連鎖が続く風土であれば最高です。社員の笑顔や幸せの質が、企業のサービスの色合いを決める…そう思っています。
きっと、みんな会社に来て仕事をしているって感覚が薄いんじゃないかなぁ。ひょっとしたら、コミュニティハウスだと思っているかも…。
軸になる大きな戦略はある程度見通せていますが、個が育って自分で発案して、どんどんそれを推進していっているから、正直5年後とか10年後が予測できない。明らかにメンバーが牽引している会社ですね。

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一見すると、メンバーの意欲や自立する力に「委ねる」経営。だが一方で、そのマインドに応える企業としての度量や環境・風土の保証、それらを完全に「委ねられている」経営でもあるとも言える。

今やっていることはすべて、自分の体験が起点です。
でも、みんなで会社をつくろう、みんなで会社を良くしよう…ってほんとに全員思っていますからね。
嬉しいことです。確実におもしろい集団になってきていますよ。

そう締めくくった柴田社長。そのことばに強い責任と自信が伺える。
確かに、『ネットプロテクションズ』は今熱くおもしろい。そして、5年後も10年後も間違いなくおもしろい。

企業公式サイト http://corp.netprotections.com
採用情報ページ http://www.netprotections.com/recruit