「成長」の瞬間 【「 自信」はここからはじまった。 】
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自分の成果の会社への影響を感じたとき 大きく変わった仕事への視座

株式会社マネーフォワード

MFクラウド本部 事業推進四部 部長

伊藤 佐代子

マネーフォワード_0_伊藤佐代子

 

「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をビジョンとして掲げる『株式会社マネーフォワード』。主な事業は、「お金」の課題を解決するためのサービスの開発、提供。その範囲は、個人向けの家計簿や資産管理のためのツールから、ビジネス向けの会計・確定申告、給与計算、マイナンバー管理などバックオフィス業務を支援するクラウドサービスまで幅広い。
2012年の設立ながら、社員数:約200名。東京本社以外にも全国5箇所に営業拠点を配し、急速な事業規模の拡張を進めている『株式会社マネーフォワード』。その営業セクションのリーダーとして活躍する伊藤佐代子さんに「成長」の瞬間を実感したエピソードとそれを支えた企業風土について聞いた。


マネーフォワード_1_個人向けソフト

きっかけはアプリユーザーとしての感動、そして共感

【Q】 『マネーフォワード』入社までの経緯は?

『マネーフォワード』は2度目の転職になります。新卒で入社したのが大手化粧品メーカー。出身が名古屋なんですが縁あって地元配属となり、ドラックストア・ホームセンター・量販店といった流通対象の大口取引の営業を担当していました。
会社も仕事も大好きでしたし、何か不満があったとかは全くありませんでした。でも何年かするうちに、超大手企業の中にいて組織の中の一部分しか知らない、会社全体がどうやって動いているかすら実はわかっていないというもどかしさを感じ出して。今の状況で自分が本当にやりたいと思ったことがやれるのか? このままだと社会がどういう動きをしているのか察知しようという意識も高まらないんじゃないか?…っていう、漠然とした将来に対する不安に駆られたんです。一旦外に出て、もっと自分でいろんなことを見て経験してみたいと思い転職を決心しました。

まずは地元名古屋のイタリアンレストランなどを運営する飲食店の会社に入りました。ここでは、経営企画担当として、社長とかなり近い距離感で経営の構造やビジネスのフレームを勉強させてもらえた気がします。
そこから次の転職へは、正直、自分を見つめ直して結論を出すまでに時間が掛かりました。社会的な影響力や意義の高い仕事、もしくは市場を変えていけるような業務に就きたいという思いはありましたが、漠然としていて特定の業種や会社に絞れないままの状態が結構長く続いていました。

『マネーフォワード』との具体的な接点は、自分自身が自動家計簿アプリを使ったこと。ここまで便利で家計の見える化ができるサービスに素直に感動しました。1社目でいわゆる商売を学び、2社目で経営を身近に実感できたこともあり、こういったプロダクトを通して個人の家計や法人の経営のサポートができるっていいなぁと思ったんです。
軽い気持ちで会社のことを調べてみたんですが、これからにすごく可能性を感じたことを覚えています。実際に働いている人にもとても興味が湧きました。キャリアのあるみなさんがイキイキしている感じがして。
そこからは迷いはなかったです。ご縁をいただいた2015年2月に入社しました。

入ってからわかったことですが、同じようにアプリのユーザーだったことがきっかけで入社したメンバーが多いんですよ。裏返すと、「ユーザーにとって嬉しい価値のあるサービスは何?」という視点での開発が徹底されているんです。当時の私にもその感覚が届いたんだと思います。
面接などを通じても、「役に立ついいプロダクトを世に出していきたい」という強い思いをすごく感じましたし、今もその印象は変わっていません。「常にユーザーの目線で」というのは、会社の文化として成立しています。そこが一番の魅力ですね。

マネーフォワード_2_法人向けソフト

勇気の移籍。だから生まれた新しいスキルと出会い

【Q】 入社後のお仕事は?

法人向けの『MFクラウドシリーズ』の営業を担当しました。しばらくはその領域での新規先の開拓と既存先とのリレーション構築が中心で、現在は加えて営業チームのマネジメントやプロジェクトの企画推進、金融機関とのアライアンスなども行なっています。
東京での採用でしたが、当時から全国に拡販していたため、出身地で地の利があることを活かして、主に中部エリアと東京を頻繁に行き来していました。

入社直後の1~2か月はかなり辛かったですね。営業として当たり前にプロダクトについてお客さまに詳しく説明しなければならない。そのためにまずは膨大な量の情報を理解する必要がありますが、新機能がどんどん加わるため、それを随時キャッチアップしていくことに苦労しました。他にも会社としての新しい取り組みが日々発生するので、社内のチャットに全て目を通して内容を把握していくことも必要です。情報の優先順位付けや取捨選択に自分なりの一定の基準を設けてコントロールすることに慣れるまでは本当に大変でした。桁違いの情報処理スピードに追いついていくことにただただ必死でした。

前職の既存先中心の対応から、次々と新しい方との関係を築いていかないといけない状態に変わり、身に着けるべきスキルが違うということも大きな学びでした。
お客さまがお持ちの考えや課題、当社のサービスへの期待などを、いかに自然な流れの中でヒアリングするか、できるだけ短い期間でお客さまの本音をお伺いできるかなどは、試行錯誤を繰り返しながら日々勉強中です。
例えば、名古屋には他の都市部に比べて新しいものを受け入れにくい独特の土地柄があります。ですので、近隣で既に導入実績が多くあることを世間話としてお話しして、まず取り組みへのハードルを下げていただくアイスブレイクをすることもあります。
また、一般の法人企業へのアプローチ以外に、税理士事務所や会計事務所を通じて顧問先に『MFクラウド』を導入いただくという活動を戦略的に進めています。そのため、そういった業態の方がどういった情報をどんなルートで入手しているか? どこのコミュニティに属しているか?などを事前にリサーチし把握していくことも大事な準備ですね。

今になって思いますが、環境を大きく変えるにはやはり相応の「勇気」が必要でした。
でも変えて良かったって実感しています。予測もしていなかったスキルが自分に備わったり、素敵なメンバーから刺激を受けたり、新しいお客さまに出会えたり。思い切ってチャレンジしたからこそ、勇気あらばこそ…です。

マネーフォワード_3_オフィススペース

結果を出すことから「どうしたらいい成果が出るか」へ

【Q】 自分の「成長」を実感した時は?

入社以来半年ぐらいは一人前になること、自分の実績を上げることを考えていました。ただ、ふと我に返ったときに何か違うなぁと。一生懸命やってはいるけど、結局毎月同じ数字を同じように追い掛けているだけだなぁと感じていたり。

そんな日々を過ごして、ある程度結果が出せるようになった2015年の終盤から今年に掛けての頃だったと思います。会社の規模を考えると当たり前のことなんですが、営業担当として自分が出した結果が、会社にものすごく大きい影響を与えるということを自覚したのがその頃で、そこが大きなターニングポイントでしたね。
今、私が担っているこの案件は、この事業を成功させるためにある。会社を成長させるためにある、ということが、改めてストレートに刺さりました。

視座がふたつかみっつ上がった。そんな感覚が自分の中でありました。
どうしたらこのプロジェクトは成功するのか? どうやったら会社はもっと成長できるのか?といったことを考えた時に、社内に向けての「提案」が、具体的な形でできるようになったんです。このKPIの設定はもっとこうした方がいいのでは? こんな新しいメニューを作った方がもっと売りやすくなるのでは? こういうチームや機能を作ったらもっと合理的に進められるのでは?とか。
もちろん、私のそもそもの性分として、どんどん新しいことにチャレンジしたいとか、常にワクワクしていたいとかいう気持ちがベースにあったはずです。でも、情報をもらう側から発信する側に回ろう。ちゃんと考えてちゃんと発信できたら、みんなの活動は必ず良くなるよね…っていう視点は、自分でもちょっとびっくりするくらいの大きな変化でしたね。

今年に入って営業部門の再編があり、約20名の営業メンバーが改めてエリア別に4つに分かれました。4月からはそのひとつ、中部・関西エリアを管轄する8名のチームの部長という立場を任されています。まだまだここからが「成長」です。

マネーフォワード_4_ミーティング1

成長を支える独自の風土。「ユーザー目線」と「風通しの良さ」

【Q】 会社として自慢できるポイントは?

独自の風土が、仕事における今の自分を支えてくれていますね。大きくはふたつでしょうか。

先の通り、スタッフ全員に見事なまでに「ユーザー目線」という軸が通っています。
特に、エンジニアのユーザビリティに対する意識はとても高いです。私たち営業担当が持ち帰ったお客さまからの要望に対して、「技術的にこれは無理」と頭ごなしに否定することはありません。毎回、どうしたら応えられるかを本気で考えてくれています。カスタマーサポートと技術系のメンバーとの距離もとても近くて、小さなことでもしょっちゅう話をしています。職種に関係なく、お互いに「ありがとう」と言いあえる環境はいいですね。
プロダクトオーナー兼任のエンジニアも多く、自分の技術的なスキルを高めたいというより、自分たちが提供したサービスを通して世の中を変えたいっていう気概の方を強く感じます。ビジネスマインドが高いので、職種間での壁などはほとんど感じません。
今はまさにIT化・クラウド化の過渡期で、お客さまも経理の自動化は一気に進めたいけど、知見として疎い方もいらっしゃるため、上手くニーズや意見を拾い上げられなかったり。でも、そんな時もすぐに社内で話し合えるし、ユーザー教育も含めた建設的な答えが出せていると思います。
また、月並みかもしれないし、今の立場になったからよりそう感じるのかもしれませんが、お客さまから、サービスのクオリティやそれを担うエンジニア、そして営業のメンバーが褒めてもらえたりすると本当に嬉しいです。

今の話と少し重なる部分もありますが、もうひとつは「風通しの良さ」ですね。
自由度が高いというか、なんでも言い合えるところがすごくいいです。
新しいプロジェクトを進めるときも、それが必要だと関係者全員が納得すれば、即「やっていいよ」って言ってもらえることもあります。「誰がやる?」という段階でも、個々の強みをほぼ全員が理解しているので、部署の隔たりを気にせずチームを作ることができます。困ったときは、チームとは関係なく全員が手を貸してくれる文化があり、必要度が高ければ、新しい取組みに向けての新部署・新部門のアレンジも可能です。
組織として、もちろん役職の肩書はありますが、それが縦になっていない感じです。意見を判断して取り入れるポジションはありますが、意見を言うことに関しては、権限の有無や大小は全く関係ないのが実態です。現場の意見もちゃんと尊重してもらえますね。

先の「ユーザー目線」の軸が一致していることも手伝って、定例会議でも案件ごとのミーティングでも、俯瞰的な視点での意見がたくさん出るし、画期的な議論ができている気がします。
特に次のフェーズを見据えたテーマを検討しているときは、「未来を作ろう」という全員の思いが交錯して、すごく面白いしワクワクします。
新しいプロジェクトの活動は、所属部門での日常業務と同価値…という考え方が定着していますが、そんな前向きなスタンスも会社の成長に繋がっているんじゃないでしょうか。

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「お金」の問題を改善し人の役に立つ。それが「やりがい」

【Q】 今後目指していくのは?

娯楽性のあるサービスではないので、気軽に受け入れてもらえるようなものではないかもしれません。
でも、個人の家計の管理や企業のバックオフィス業務の効率化など、全ての人が日常的に抱える課題に関わって良くしていくのが仕事。法人営業の場合は、会社の将来も一緒に考えていく立場にあると思っています。
ましてや日本は、「お金」に関する問題となると閉鎖的になる傾向が強いですから。オープンにしたがらなかったり、誰にも相談できなかったり…。そんな一番深いところにあるテーマだからこそ、よりいいカタチに変えること、改善することに大きな「やりがい」があります。「誰かの毎日のためにきちんと役に立つ」、これからもそこをしっかり追い掛けていきたいです。全員が同じ方向を向いている当社だからこそ、きっとやっていけると思っています。

【Q】 最後に、就職活動に臨む学生にひとことアドバイスを。

3年後とか5年後に「自分がどうなっていたいか?」のイメージを強く持っておくこと。とても大事だと思うんです。
ただ、学生の時期にビジネスにおいての理想を描くのはかなり難しいでしょうね。実際に私もそうでした。なので、具体的な人物、身近な人でも構わないので、こうなれたらいいなぁっていう特定の人を仮の目標として置いて見るのはどうかなぁと。その人に近づくには何をしたらいいのか? これをしたらその人になれるのか?という観点で自分の行動や判断を評価していく感じです。
どんな会社に入ればその人に近づける? この会社はその人のように成長できる環境か? この環境で努力すればその人のようになれそうか?そんな問いかけを繰り返すと判断軸がきっと明確になる気がします。もちろん就職自体は会社から採用されるかどうかなんですが、説明会や面接に際して、逆に自分の側からもそこにいる人を見て「選ぶ」という姿勢で取り組むことで、後悔しない活動になるんじゃないかと思います。
近くてわかりやすい目標があるから、次にやりたいこと・やるべきことが出てきやすい。到達できれば、新しい目標を置いてまた次のステップに進む。その繰り返しですね。

マネーフォワード_6_オフィス各部屋

インタビューの後、オフィス内を案内してもらった。

間仕切りがないでしょう? 文字通り「風通し」がいいんです。
そのうえリラックスしながら仕事ができる共用スペースや、ひとりでこもって作業に没頭できるブースもあるんですよ。

確かにパーテーションなどはほとんどなく、あちこちでスタッフ同士のミーティングが繰り広げられている。しかし騒がしい雰囲気は少しもない。
個々の自由裁量がありながら、お互いのコミュニケーションや理解を大切にする。さらには全体として目ざすものがはっきりしているため、会話も形こそ対峙しているが、実は横並びで同じ方向を見ている。
そんな風土がストレートに伝わってくる。

ここでは個人専用のデスクがないんですよ。今日もこれからそこのオープンスペースで資料づくりです。

とにこやかな挨拶の後、パソコンを開いた伊藤さん。
その凜とした横顔に、改めて「誰かのために役に立つ」という心意気を見た。

 

企業公式サイト http://corp.moneyforward.com
採用情報ページ https://recruit.moneyforward.com