「やさしさを、私たちの強さにしたい」…スローガンの奥に流れる誠意と情熱こそが、企業としての進化の支え。
『ニチイ学館』は、1968年の創業以来、「医療」「介護」「教育」の3つの領域を柱とし、新たな業態のトップ企業として成長してきた。さらに社会環境の変化や時代のニーズを常に先取りし、「保育」「語学教育」「ヘルスケア」など次々と事業ジャンルを拡張。社会的意義の高い「総合生活支援企業」として人々の豊かな生活づくりに努めている。
今回の『成長の瞬間』の主役は、医療事業部門の中で異動を重ねながら、現在営業の推進・管理業務のエキスパートとして活躍する石井主任。そのキャリアにおけるターニングポイントと「職業観」について聞いた。
学生時代に実感した「意味のある仕事」「不可欠な企業」
【Q】今の会社・仕事を選んだ理由は?
大学生の時に、『ニチイ学館』のアルバイトとして、大学病院の夜間救急外来の受付事務を担当していました。
急患の方の場合、動転していたり、不安を抱えている方も多いので、窓口でのやり取りや手続きを間違えるととんでもないことにもなりかねません。そんな体験の中で、医療機関の初動での適切な対応の重要性を痛感しました。
『ニチイ学館』はすごく意味のあることをやっているんじゃないか? 日本の社会にとって不可欠な企業なんじゃないか?…と率直に思いましたね。就職に向けて「社会貢献」ということが軸にあった自分に、とてもフィットしました。魅力的でした。この会社で働きたいと強く思いました。
異動のごとに深まる 「相手の困りごと・欲しいものは何?」
【Q】入社以降の仕事の経緯を?
入社前に、配属希望の部署とエリアが申請できるんです。
興味のあった医療の分野と大学生活を過ごした京都を希望しました。
新しい事業領域に希望が集中しやすかったりするため、申請は必ずしも叶うわけではないのですが、運良く思い通りに2011年4月の入社と同時に、医療関連事業の京都支店 営業課に配属されました。
仕事のスタートは、クリニックへ医療事務・受付の人材派遣やレセプト(健康保険組合に提出する月ごとの診療報酬明細書)点検業務の新規営業でした。その後、大学生時代の夜間救急外来の受付事務の経験を活かして、病院の救急外来の開設業務や新規病院の業務運用マニュアル作成も担当しました。
この頃は、話す相手やお客さまが、何に困っているのか? 何を求めているのか?…をすごく意識し始めていましたね。
2012年4月、2年目に東京の本社:本部事業部の指導課、新設部門へ異動になりました。
全国の医療機関に提供するサービスの質の維持・向上をマネジメントする部署です。特に病院の収入に直結するレセプト点検をするスタッフのスキルアップやレベルの標準化が主な業務テーマでした。
サービス品質を基準化したり、テストや研修資料・マニュアルを作ったり、自己チェックの結果と顧客からの評価の差異を“見える化”するツールを開発して、集計結果をフィードバックしたりもしていました。
さらに、診療情報管理士という特殊な業務を行う方々にとって必要な情報を提供するためのコミュニティサイトの企画・構築から管理運営までやらせてもらったのもこの頃。全国の関係者に欲しい情報や機能をヒアリングして、「使えるサイト」づくりを目標としました。
その2年後、2014年4月に、医療交流部 医療交流課に異動します。
厚生労働省の補助金事業のひとつ、外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)の受審促進に携わりました。この制度は、国際化社会が進む日本に在住する外国の方々、日本を訪れる外国の方々を受け入れる医療機関の体制整備を行うもので、企業という立場から受審促進のために、有識者の協力を仰いで「JMIP」の有意性アピールのためのシンポジウムを開催し、全国58の医療機関に参加してもらえました。「JMIP」取得病院への見学会も企画・運営し、興味を持ってもらった病院には具体的なサービス提案も行いました。
その他には、東京都の複数病院で職員と外国人患者を対象に実態調査を実施し、まずは病院側の問題意識、外国人患者側の不安や必要としていることの把握に努めましたね。
在籍期間は短かったんですが、行政機関や病院の経営層、有識者など初めて関わりを持つ方々と仕事をしたので、中身は濃かったです。
そしてその半年後、10月には現在の部署へ。経営支援部 経営支援課に来たのが約2年前。
売上・利益を上げるための施策発信や指導、売上実績の管理と予算の策定が主な業務で、これまでの実務推進から事業の推進・管理業務へと仕事が大きく変わりました。
医療関連事業97支店の過去実績の分析に基づいて予算を設定し、さらにその進捗を管理します。かなりの重責に最初は戸惑いましたね。
他にも、課題を抱える支店への対策支援、支社の重要案件の見積作成サポートなど受注化のフォローもしています。現場に出向いての活動はほとんどなくなりましたが、事情の理解や改善策の考察に対しての現場感度も問われると思っているので、今後もいろんな形でアンテナを張ることを心掛けていきたいですね。
全体最適は「楽の連鎖」にあり。追い込まれて掴んだベストアンサー
【Q】「成長」のターニングポイントは?
現在の経営支援課に移って1年後。2015年の秋頃です。自分も周りも確実に変わっていきましたね。
その時期の前に組織体制が大きく変わりました。地域特性を反映した営業戦略を実施するために「支社」を新設したことで、支社の強化に向けて人の拡散が急速に進みました。上層の方が支社へ異動したり、全国規模でより現場に近いポジションに人材の比重が移されたんです。
人材が分散したことで自部署もメンバーの数が減り、自分の業務自体の負荷やステージ・難易度が一気に上がりました。とにかく忙しかったです。
環境自体が大きく変化していく中で、自分自身がスキルアップするしかなかったです。
業務の効率化も本気で考えざるを得なくなりました。言い方を変えると、どうしたら少しでも「楽」になるのか?…を真剣に考えようと。
支社・支店など現場の業務が楽になれば、必然的に自分の業務も楽になるはず。そのために仕組みをどう変えるか? オペレーションをいかにシンプルにするか?…毎日悩んでは試行錯誤の連続でしたね。
まずは、自分の周りの既存の管理帳票の書式を変更して、より運用しやすいものに替えたり、本社と支社が共通して管理できる新たなツールを作成しました。
それを許容してもらえたことが嬉しかったです。改善のメリットや変更の根拠が明確に説明できれば“GO”サイン。上長の判断が早かったことに救われました。
部門のメンバー同士が親密になりましたね。コミュニケーションを密にして、協力して一致団結しないと乗り切れない状態でした。上司へたくさん相談もしましたが、逆に上司から相談もされるようになりました。自分のポジションを引き上げてもらった感じでした。
一方で、最前線である支社・支店の営業職やスタッフの業務の効率化を考えました。少しでもお客さまと会う時間を増やしたり、作業時間を短縮したりすることに貢献するのが、今の自分にとって重要な仕事だと思って。
現場の事務や管理業務を楽にするために、仕組みやシステムを工夫することが、結果としてその成果を管理している自分の周辺の業務を楽にする。「楽の連鎖」を進めていくことで全体が良くなる。そんな視点で仕事に対峙できるようになったのがその時期でしたね。
辛くはありましたが、経験としては本当に良かったです。
「ピンチはチャンス」ってよく言いますが、まさにそれを実体験できた気がします。文字通り「成長」の時でした。
実践型文化が求める「異なる環境になっても力を発揮できる人」
【Q】育成に関する仕組みや環境は?
その年によって多少期間の差がありますが、入社直後に2週間から1か月の「新人研修」が実施されます。
会社の業容や各事業の詳細、社会人としての基本事項を学びます。
その後は配属先での「OJT」型の育成が基本ですね。
部署によって必要なスキルやノウハウが違うため、それぞれの現場での教育が優先です。
1年間は専属の先輩トレーナーが付き、日常的な指導・アドバイスや相談に乗ったりしています。
異動の頻度やスパンについては人に寄って異なります。
明確なジョブ・ローテーションの制度はありませんが、今は事業を多岐に拡げている時期でもあり新設部門も多いため、全社的に見るとそれなりに動きもあります。自分は今のところ医療関連事業内での異動だけですね。
どのセクションの業務に就いても、早く馴染んでいけるフレキシビリティが求められます。あくまで「実践」型の土壌ですね。
「異なる環境になっても力を発揮できる人」が期待される人材像なんでしょうね。
新人や若手社員に対しても、「学びたいと思えるか?」「成長の意欲があるか?」…という主体性が問われます。
担当する業務によって異なる大事な知見や経験に、どこまで貪欲かが生命線かなぁと。
例えば自分も、今の部署に配属された時に、データの活用のスキル不足にすごく焦りました。「Excel」の応用とか関数の使い方とか、とにかく躍起になって調べたし勉強しました。おかげで随分と役に立って。勉強とか学習は、自分からの前向きな意識が働いて初めて身につくものって実感しましたね。
「成長」の場を支えるやさしい思いやりの風土
【Q】社内の「自慢」できるところは?
ひとつは、若手にとって仕事を任せてもらえる機会と場面がとても多いこと。
先の通り、いい意味で拡がっているし動いている会社です。いろんな新しいポストやポジションも生まれ、そこで早く機能することを期待されます。場合によっては、それが自分のキャリアやスキルに比べて背伸びをしないといけないこともありますが、頑張ってその状況を上手く活かせば、まさしく絶好の「成長」の場だと。果敢に挑む気概があれば、確実に応えてもらえる環境ですね。
もうひとつは、女性にやさしいこと。
出産や育児に対する受け入れや条件が、とても働きやすい形になっていると思います。女性社員の比率が多いので当然とも言えますが、男性の育児休暇も奨励されているし、仕事とパーソナルのバランスが取りやすい風土でもありますね。
何よりも、社員同士のライフスタイルを思いやれるアットホームな空気がとてもいい感じだなぁと。
ライフプランに応じた仕事の選択。だから頑張れる
【Q】就活生にひとことメッセージを
難しいですねぇ。自分のライフプランに応じた仕事を選ぶこと…でしょうか。
自分が生きてくうえで何をしたいのか?…の上に仕事があると思っています。
私生活で好きなことを存分に楽しみたい。家庭も大切にしたい。だからちゃんと稼ぐ。仕事を頑張る。プライベートの時間をきちんとキープしたい。だから仕事の効率化や時短を本気で考えて改善と向き合う。もちろん、自分のやりたいことが仕事の中に埋め込まれているとしたら、時間やお金を投資してでも知識やスキルを身につけて頑張る。それもあり。
就職観と生活観は表裏の関係だと感じています。
それと、強く興味のあるジャンルがあるなら、少し無理をしてでもそこにマッチする「資格」を取っておくことを勧めたいです。就職後に勉強する時間を確保するのは並大抵じゃないですから。
漠然と取ったものではなく、自分の意思で手にした資格は、必ず自信の持てる専門性や選択肢のひとつとして有効に働く気がしますね。
自分も英語に関する勉強をもっと本気でやっておけば良かったって、改めて切実に思っています。
入社以来いくつものステージの変化に対応してきた石井主任。
最後に「改めて今思うことは?」と聞いてみた。
医療機関における経営や業務の合理化…とひと口に言っても、目に見える顕在的なモノを提供するわけではないので、ともすればわかりにくいし簡単に答えの出ない難問だと思います。
でも、それだけにたくさん考えないといけないし、たくさん動かないといけないし。だからこそ成長できるとも言えるし。
たまたま異動が多かった分、いろんなトライアルの機会に恵まれました。プレッシャーもあったし、これからも次々と出てきそうですが、ひとつずつ跳ね除けていかないと。「ピンチはチャンス」ですから…。
クールな印象とは裏腹に、中身はしっかりと熱い。
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