「成長」の瞬間 【「 自信」はここからはじまった。 】
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数字最優先からメンバーの強みが活きるチームに。若きリーダーの丸の組織づくりとは?

株式会社ドットマネー

代表取締役社長

鈴木 英

ドットマネー_0_鈴木英

「アメーバブログ」や「AbemaTV」で馴染みの深いメディア事業の他、インターネット広告事業、スマートフォンゲーム事業などで、常に業界をリードする『株式会社サイバーエージェント』。2016年12月、『株式会社ドットマネー』はそこから誕生した。
事業の立ち上げは、2014年12月。運営するインターネットポイント交換サービス「.money by Ameba」の口座開設数は1,400万、ポイント流通額は3.5億円を超え、リリースからわずか2年半余りで国内最大級のポイント・プラットフォームに成長している。
今回の主役は、『ドットマネー』の若きリーダー鈴木社長。事業のスタートから参画し、会社として独立した際と同時に、新卒入社3年目にして抜擢された。掲げるビジョンは「21世紀の新しいお金のあり方を創る」。『サイバーエージェント』としてもレアなファイナンス領域の事業だけに、ここまでの道のりは決してなだらかではなかったはず。その成長の“ターニングポイント”を聞いた。


運命的遭遇。曖昧だった就職観に突き刺さった「プラットフォーム事業」

【Q】入社までの経緯を?

2011年、大学3年の夏。周りの流れに乗るように、漠然とした中で就職活動を始めました。
法学部でずっと法律の勉強しかしてこなかったし、「どうしてもこれがやりたい!」という仕事もなかったので、「銀行か商社か、とりあえずいろいろと受けてみるか」というかなり緩い状態でした。

この頃、Appleの「iPhone」が発売になったばかりで、世間では大変な注目を浴びており、「間違いなく“スマートフォン”の時代が来るぞ」というただならぬ空気を、学生ながら感じ取ることができました。

その就活中、あるIT企業のトップの方のお話を聞く機会がありました。そこで言われた「日本の大手一流企業がトップになるまでには何十年と掛かって来たが、IT領域、特に“スマートフォン”のプラットフォーム事業は、向こう10年で決着が着くはず。」という言葉が、目指す方向が曖昧だった自分にとって大きく突き刺さりました。そして、自分の20代を捧げるならどのフィールドに?と改めて自問し、IT業界、そしてプラットフォーム事業に挑戦してみたいと思うようになりました。

ひと度そう決心すると興味がどんどん膨らんでいき、就職活動を進めながら関連する様々な企業を調べていたところ、サイバーエージェントでも、「Ameba」などのメディア事業やゲーム事業からプラットフォーム事業に展開しようとしていた時期で、大きな可能性を感じ、この会社にいきたいと決心しました。

やっと辿り着いたやりたかったこと。圧倒的な知識不足とさらなる試練が…

【Q】『サイバーエージェント』での経歴は?

サイバーエージェントに入社すると決め、大学4年生から内定者アルバイトとして早速働きはじめました。当初は、「Ameba」事業のスマートフォン・プラットフォームディビジョンに。外部のサードパーティーからゲームをリクルーティングしてくる仕事をしていました。

2013年4月、正式入社し配属希望を出す際に、兼ねてから興味のあった「プラットフォーム事業」に就きたいと伝えたところ、希望通り「Ameba」のゲームプラットフォーム事業に配属されました。
配属されて仕事を進める中で、とにかく驚いたことは、もの凄いスピードで日々事業が進んでいくということ。同時に、圧倒的に知識がないことも突きつけられ、打ちのめされる毎日でした。

日々できないながらも必死に経験を積み重ねていきました。そして、少しずつ成果もついてきたころ、『サイバーエージェント』グループの経営方針を決定する「あした会議」という年に1度の場で、ポイント・プラットフォーム事業を立ち上げることが決議されたことをきっかけに異動となりました。

その年の12月には、『ドットマネー』の前身となるチームが発足します。
発足当初は上司と自分の2名のチームでスタートし、僕は『ドットマネー』のポイントを交換できるよう、提携先を増やす営業を担当しました。これまで、「Ameba」のコインを活用しながら、どうユーザーを楽しませることができるかというサービスプロデュースの仕事だったので、毎日が試行錯誤の連続でした。
営業として約1年経った頃、上司の異動が決定し、代わりに約10名規模になっていたチームのトップに就くことになったんです。

ドットマネー_1_サイト

決断の難しさに直面。失敗を恐れず実行する勇気が成長へと導いた。

【Q】ターニングポイントは?

チームのトップとなり、とんでもなく大きなものがドンとのしかかった感じがして。この時が、自分にとって大きな「ターニングポイント」だと思っています。

トップとなり、難しかったことのひとつが「決める」こと。自分の後ろに誰もいない。自分が決めないと何も前に進まない。「どうしたら良いのだろう?」と焦りました。
それまでは、逐次細かいことまで相談していたわけではないですが、上司がいてくれたこと、最終的にどうするか決めてくれていたことで、どこかで安心感というか依存する気持ちがあったんだと思います。

悩んだ挙句に出した結論は、「考え抜いたうえでやってみる」ということです。
とにかく失敗を恐れず本気でとことんやってみる。もしダメだったら、そこから真摯に学ぼう。そう決めて動きました。そんな熱量だけで開き直ったスタンスを許容してくれた環境に、今も本当に感謝しています。
決断の経験値が上がったというか、この時期の自分が決めなければ事業は前に進まないという強烈なプレッシャーのおかげで成長できたかなという実感があります。

ドットマネー_2_スタッフ

相互補完こそが強いチームをつくる。悩んだ末に行き着いた大きな教訓。

【Q】リーダーとして悩んだことは?

きちんと決めて一生懸命動いたものの、何かチームとしては上手く廻らない。パフォーマンスとしては確かに上がっていましたが、どこかギクシャクしていて、当時は大きなジレンマを抱えていました。
さまざまな角度から振り返り突き詰めていった中で、「数字」最優先の組織になってしまっていたことに要因があるなということに気づきました。

当時、上司と二人三脚で立ち上げた組織は、先輩・後輩、上司・部下の関係ではありましたが、きちんと役割が明確だったんですよね。上司がユーザーへの提供価値や組織運営にきちんと気を配っていた分、僕は事業を大きくすることや成果の数字を思う存分追い掛けることができていたんです。
上司が抜け自分がトップに就いた途端に、マネジメントやチームとしてのバランスや熱量をコントロールする機能が一気に低下してしまったんですね。僕にはそこをしっかりと担保するスキルが足りなかった。トップが変わると、こんなにもグループの色合いが変わるのか?と思い知らされました。

今年に入ってから組織についてすごく考えるようになりました。
メンバーとのコミュニケーションのカタチを徹底的に変え、事業としてのビジョンを繰り返し熱く伝え、メンバーからの思いや意見もいっぱい聞いて、とにかく対話量を増やしました。これまで、そんな当たり前のことができていなかったわけで、とにかく意識して根気よくやっていった中で、少しずつ空気が変わっていった時は、本当に嬉しかったですね。今は風通しも良くなっていると思うし、ようやく克服した手応えを感じています。

きっと尖りすぎてたんでしょうね。数字や成果に。自分の強みに依存しすぎた結果、10名もいたメンバーの強みを活かせていなかった。
寄りすぎた組織を作っちゃダメなんです。僕の弱みをメンバーが、組織が補ってくれる。それぞれの弱みをそれぞれが補完することで、強みも活きてくる。
「◯ 」ですね。「丸」 の組織をつくること。それが失敗から学んだことです。

ドットマネー_3_職場風景

ユーザー・メリットをとことん追求。ポイントビジネスから「お金のあり方」を革新したい。

【Q】今後の展望を?

アメリカや中国ではファイナンスにすっかりITが浸透しています。これだけITが進み、IoTもどんどん進化しているのに、日本のファイナンス領域だけは変わっていない。国民性なんでしょうね。現金社会ですから。
それでもこの2~3年来、「Fintech」という言葉が流通しだしてからは、いよいよ動き出した気がします。周辺でも、決済ビジネスや仮想通貨事業のスタートアップが急速に拡がっている実感があります。これまでが手付かずだっただけに、テクノロジーによって激変する余力を秘めた数少ない市場でしょうね。

会計管理などのジャンルを見ても、一気に複数機能の集約の流れが来ています。市場の「ひとつにまとめたい」ニーズは確実に大きくなっています。
ポイントや決済においても同じ。何枚ものカードをひとまとめにして、かつIT化しネット上で全て管理できる。その大きな波が今まさに起きています。
『ドットマネー』としても、将来的にどのジャンルに展開していくかはまだ絞り込んでいませんが、まずはポイントビジネスの世界で可能性を模索しながら、会社を大きくしていくのが第一義です。ITを駆使して。

強みは、入会やポイント交換の際に一切手数料をいただかない「ユーザーフレンドリー」なサービス。他にはないシームレスな制度だと思っています。
次のステップは、現在約80ある提携・加盟メディアの数をもっともっと増やすことですね。他社にあるような1業種1社にこだわらずに。加盟企業が増えれば利用者も増えるはず。ポイント交換自体は今や珍しいサービスでもなく、利用価値を上げるならば「融通性」の強化しかありません。加盟側のロイヤリティー以上に、使用者側のメリットを追求しないと。
何にでも使えて現金化も可能。そんな「ポイントのオープン化」の先頭を走っていたいです。ポイント自体の持つ価値を高めることが、『ドットマネー』としての差別化になるはずですから。あくまでユーザーメリットを優先することで顧客を増やす。その思想は加盟店さんにも必ず理解されると信じています。

とにかく今目指すのは、ポイントビジネス「成長率ナンバーワン」。確実に、ユーザーのお金のあり方、「お財布」の概念を変えていきたいですね。

大胆な機会の提供とそれに応えようとする心意気。その循環が会社の最大の魅力。

【Q】『サイバーエージェント』の自慢を?

こんなに若手に任せてくれる会社は、他にはないはずです。大学の同級生とたまに会っても、なかなかここまで任せてもらっている人はいません。若手にもビッグチャンスがある「開かれた会社」です。
大きな機会が与えられる。でも決して重荷ではなく、感謝とか覚悟とかやりがいに転換され、応えようと必死に頑張る。その成果に次の期待が乗る。そしてまたトライする。そんな循環が、『サイバーエージェント』の最大の強みだと思っています。


取材の最後に、「鈴木社長から就活生への応援メッセージを」と促した。

昨日も新卒入社のスタッフと話していたんですが。
人生の中で「働く」時間のシェアはとても大きいです。そこを楽しんでいるか? 仕事に楽しさを見出せているか?で、成長スピードが劇的に変わるんですよね。
じゃあ、どうしたら楽しいか? 答えは簡単。「好きな仕事」をやるしかないんです。多少辛くても、好きなら最後まで粘れるし楽しめるし。
就職活動を一生懸命やることです。飾らずに本気で。自分は何が好きか? 強く意識しながら、いろんな人、いろんな機会と出会うことが大事だと思います。僕もその時期に「プラットフォーム事業」に出会いました。
就活はゲームじゃない。受かるための就活ではなくて、キャリアを見つけるための就活であって欲しいなぁと。「自分はこの仕事が好き。だからこの会社に入りたい。」 それを誰よりも強く説明できれば、その先には絶対に楽しさと成長が待っているはずです。結局、仕事を愛することしかないですよね。

時に真剣に、時に相好を崩して。多彩な表情で語られる話から放たれるエネルギー。プラットフォーム事業に、そしてファイナンス市場に、真っ向から向き合う強い意志が伝わってくる。
そのスポーツマンらしい熱量こそ、新しい化学変化を起こすはず。きっと…。

 

企業公式サイト https://d-money.jp
採用情報ページ https://www.cyberagent.co.jp/recruit/