「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションとして掲げる『株式会社マネーフォワード』はお金の課題を解決するためのサービスを幅広く開発、提供している。
個人向けには、自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」、自動貯金アプリ「しらたま」、くらしの経済メディア「MONEY PLUS」など。また法人向けには、会計・確定申告、請求書、給与、マイナンバー管理・経費精算・資金調達・会社設立など、バックオフィス業務を支援するためのクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」を提供。さらに2017年6月に設立したグループ会社『MF KESSAI』では、企業間の後払い決済を管理するクラウド型ツール「MF KESSAI」を提供するなど、その範囲は幅広く拡がり続けている。
2012年の設立ながら、従業員数:247名(2017年10月末時点)。東京本社以外にも全国6箇所に拠点を配し、2017年9月には東京証券取引所マザーズ市場に上場し、急速に事業規模の拡張を進めている。今回は、福岡支店でMFクラウド事業の事業推進担当として活躍する高橋さんに、仕事における転機と成長の実感にまつわるエピソードを伺った。
想定外だった経理職。数々の経験に鍛えられた前職での濃厚な5年間。
【Q】『マネーフォワード』入社前のお仕事は?
大学時代までずっと理系で、就職活動時には、メーカーで製品開発の仕事に携わりたいという希望がありました。大学院に進むという選択肢もありましたが、別の大学から移籍したり留学したりして研究を突き詰める方々に比べ、自分には熱意が足りないという引け目を感じていたんです。これからのことをちゃんと考えるうえでも、就職活動をきちんとしてみよう、そう思って動き出しました。ただ、“ものづくり”の世界への憧れは続いていたので、メーカーを中心に企業訪問や情報収集を進めていました。
そんな中で出会ったのが『リクルート』だったのですが、この出会いでは、ちょっとしたカルチャーショックを受けました。というのも、お会いした皆さんの目がキラキラしていて、コミュニケーションがとても気持ち良く、やりとりが非常に楽しかったんです。結果的に内定をいただき、希望していたメーカーでの仕事ではありませんでしたが、この直感を大事にしようと思い入社を決めました。
入社後は、『リクルート』の新卒採用の一般的な傾向から考え、漠然と営業を担当すると思っていました。営業として、経営や人事などに携わる方々とお話ができる機会を通じてビジネススキルを磨き、早く一人前になろうと一方的に想像を膨らませていました。
しかし、配属先は経理でした。どう評価していただけた結果だったのか、あまりに予想外で本当に驚きました。また、本来は本配属前に営業研修を受けるのが標準的なプログラムでしたが、当時は分社化のタイミングだったことも影響したのか、いきなりの本配属で、入社後すぐに経理としての仕事がスタートしたんです。まずはとにかく簿記の勉強を…といった感じでした。
配属後は、IFRS(国際財務報告基準)の導入や決算申告書の作成、新規事業の立ち上げにあたっての運用フロー構築、さらには上場準備プロジェクトと、新入社員や一般の経理担当ではなかなか経験できない仕事にも携わらせていただきました。大変ではありましたが、経理という仕事を進めるにあたって重要な、現場の動きを俯瞰的に捉える感覚を学ぶことができ、とても幸運だったと思います。
特に全社のIT化に向け、現場の業務を紙主体からネットに切り替えるためのシステムリプレイスに関しては、その提案から運用構築まで携わることができ、非常に勉強になりました。そんな経験を経て、当初は想定外ではあったものの、経理の仕事はそれなりに自分に合っていると感じていました。
入社の決め手は、ビジョンのフィット感。経験を活かせる期待。そして新拠点立ち上げのタイミング。
【Q】転職+『マネーフォワード』入社の経緯を教えてください。
その後、分社化した『リクルートホールディングス』の各事業会社を横断的に管理し、経理・法務・アドミニストレーション機能を司るシェアードサービスの会社に転属になりましたが、それによって現場の動きが見えにくくなってしまったんです。現場から上がってくる数字の背景にあるストーリーや、そこに至るまでの気持ちや経緯など、そういった自分が大事にしていた「現場の動きを捉えた仕事」が実感できなくなった環境に、徐々に辛さを感じるようになりました。
そのうち、自分は伸び悩んでいるのかもしれないという漠然とした不安もあり、ちょっと立ち止まってしまった時期がやってきました。そこで改めて先のキャリアを考え、今後は事業を拡げるための折衝力を鍛えていくのか、さらに専門性を身に着けるのかを、転職も視野に入れて考えようと思いました。いずれの道を選ぶにせよ、20代のうちにしっかりと経験を積んでおきたい、チャレンジしたい。そう思ったのが2016年頃です。
そして、そのタイミングで、『マネーフォワード』という会社に出会いました。『マネーフォワード』の個人向けの自動家計簿サービス「マネーフォワード」は前から使っており、「MFクラウドシリーズ」に関しては前職で導入検討をしていたこともあって、良いサービスであることは知っていたんです。自分が働く先として意識したことはありませんでしたが、面接でビジョンなどを聞く中で、どんどん興味を持つようになりました。
個人としては将来の資産形成への不安、法人としてはバックオフィス業務の効率化など、それらお金の課題を払拭するためにマネーフォワードはビジネスを展開していると聞き、強い信念を感じました。そして、自分もそのミッションを達成する一員になりたいと感じました。それが入社の決め手です。また、マネーフォワードであれば、経理の経験を生かした営業の仕事ができるのでは?…とも思いました。
もうひとつ、当時結婚したことも結果としては大きな後押しになりました。夫の福岡転勤が決まっており、今後のことを検討していたのですが、その時ちょうど『マネーフォワード』が福岡支店の立ち上げ準備をしていたんです。そこで営業メンバーを募集しているのを知り、これも何かの縁だと感じました。営業の現場を経験させてもらえる、しかも福岡で。この機会をプラスにしたい、今が飛び込んでみるチャンスなんじゃないかと思いました。
しかし、いざ飛び込んでみると不安と緊張の連続でした。前職では営業研修を受けていなかったですし、営業職に就いている友人に片っ端から相談したり話を聞いたりしつつ、半年間以上は毎日をバタバタと駆け抜けている感じでした。ようやく最近になって腰を据えて仕事ができるようになってきた気がしています。
どんどん膨らむ使命感。新規導入の営業から利用推進のアドバイザーへ。
【Q】大きなターニングポイントでしたか?
現場を肌で感じたいという一心で、毎日お客さまのところへ足を運んでいますが、お話を聞いたり提案をするほど、『マネーフォワード』のビジョンが腹落ちしていくんです。本当に多くの中小企業の経営者の方々が、経営面でいろんな課題に直面していらっしゃいます。しかもそれらは、自分が想像していた以上に根が深く複雑でした。『マネーフォワード』が提供できるサービスでサポートできる方、サポートしなければいけない方がいらっしゃることを、日々リアルに実感しています。
「やりたい」ではなく、「やらなければならない」という使命感がどんどん湧き出てきて、日々が小さなターニングポイントの連続なんです。ポイントというよりも「ターニングターム」、そんな気がしています。
入社直後は、新規導入先の開拓を担当していましたが、現在はサービス導入後の利用促進や継続活用のフォローをメインに活動しています。より良い形で使っていただくための提案とアドバイスに注力できるようになった今は、自分の持っている経理業務経験の知見を活かしながら仕事ができていると思います。
プロセス全体の改善起案+社内プレゼンのフォロー。より深く寄り添うことが自分らしさ。
【Q】自分の中でどんな変化が?
いろんな方との出会いが刺激的です。福岡支店のテリトリーは九州全域から沖縄まで、いろんな場所を巡りますが、地方の企業にも必ずエキスパートの方がいらっしゃいます。ITフリークで、おひとりで経営管理や事務作業全てを廻していらっしゃる社長さんや、少しのレクチャーだけですぐに使いこなすようになる優秀職員さんなど、そういった方たちから、経理の現場の実態や課題、期待や不満などをダイレクトにお伺いできることがとても面白いです。
そんな中で、自分“ならでは”の提案をすごく意識するようにしています。
「MFクラウドシリーズ」の導入がひとまずのゴールではあるので、本来はメリットをお伝えしながら、「導入していただくことでバックオフィス業務が楽になりますよ」というアプローチになります。
しかし、実際には業務全体のプロセスを見直さないと、本質的な改善や生産性の向上は難しいと考えています。プロセスを見て課題を洗い出し、細かい部分も含めて改善案を設計することが重要です。「MFクラウドシリーズ」は、あくまで現状を改善する手段のひとつ…そんなスタンスで臨むよう心掛けています。
掘り下げていくと、会社のバックオフィス業務の中には、無駄は多く潜んでいることもあります。省略できる手続きや帳票など、それらをきめ細かく確認しながら、改善案を提案しています。経理や決算処理の現場での実務経験がある私だからこそ理解できることを活かした提案、それが自分らしい提案だと思っています。
また、問題意識を強く持っていらっしゃる当事者の方にも寄り添い、こちらの提案を社内で正確に理解いただくためのフォローも大事にしています。
業務改善は、立場によって受け止め方にギャップがあることも少なくありません。
例えば、経営側が必要だと思っている帳票類や数字の算出を、現場では必要なのか?といった疑問を感じながらも、それが言えずに時間を掛けて我慢強く作成しているケース。あるいは、経営者は会計システムを入れ替え、全社的なバックオフィス業務の効率化を図りたいが、現場は切り替え時の手続きや利用環境の設計などを考えると積極的になれないケースなどもあります。
そんな状況をお聞きした場合は、担当者の方と一緒に社長さんや他部署にメリットをお伝えしに行ったり、逆に経営から担当部門への説明の場に同席させていただき、直接お話しする機会をいただいたり。こうした社内提案の支援はプレッシャーもありますが、「高橋さんにいてもらえたから話が進んだ」「来てくれてなかったら変えられなかった」などとおっしゃっていただけると、素直にとても嬉しいです。こういった瞬間は、やりがいを感じますし励みになりますね。
お客さまとの共感と信頼を育てながら問題の本質に向き合っていきたい。
【Q】今の自分の課題は?
今後は、無理・無駄だと半ば諦めていらっしゃる課題の解決をサポートできる人になりたいです。いわゆる、マイナスのメンタリティーをプラスに導くカウンセリングのような形で貢献できるようになっていきたいですね。
私が働く地方では、人と人との繋がりがより密で、それが生命線でもあります。今は、経理をされている方の辛さ、割り切れない部分、そしてちょっとした楽しみなどを理解することが、関係構築に上手く働いている気がします。過去の経験がそれらの理解を可能にしていると感じますし、それがあるからこそ信頼していただき頼ってもいただけることがあるのかなと感じています。そんなコミュニケーションを経て、結果に対して心から喜んでいただくことができる、そんなスキルをこれまで以上に身に着けていきたいです。
お客さまの本質的なゴールは、バックオフィス業務の効率化よりももっと奥にあります。「MFクラウドシリーズ」を導入いただきご活用いただくことによって、日常業務を効率化していただく。その結果生まれたリソースによって生産性を向上し、本来の事業活動に集中していただくことこそが本質だと考えています。
だからこそ、バックオフィス業務の改善という目的のその先の「目標」にも踏み込み、ヒアリングするようにしています。できる限り広い視野で、お客さまの課題や問題意識の本質に向き合うこと、それが一番のテーマですね。
【Q】今後・将来について感じていることは?
できることが増えていく中で、きちんと対応しようとすればするほど、スピード感が落ちるのではという悩ましい気持ちにもなります。
まだたくさんいらっしゃるはずの困っている企業様に、より早くいい状態を提供するには、より組織化・仕組み化していく必要があると思います。経理の実務を熟知している方、業務改善のコンサルティングをされている士業の方、ITのエキスパートの方など…可能性を持った仲間候補は多くいらっしゃるはずです。そういった方達にマネーフォワードにジョインしていただけると心強いですね。
特に地方になればなるほど、柔軟に応えようとすると、距離を含めた物理的なハンデがありますが、地方の企業におけるバックオフィス業務の効率化、生産性の向上、そしてそれによる地方経済の活性化に向けて、さらにいろんなことに取り組んでいきたいです。
今思えば、経理の仕事をしていた時も、理系的な見方かもしれませんが、いろんな作業を効率的かつ正確にどう処理できるかを常に考えていたからこそ、その仕事が面白いと思えていたのかもしれません。そういった意味では、転職で環境を大きく変えたように見えて、実は全てがちゃんと繋がっているんでしょうね。
これからの自分の仕事については、どこでも柔軟に働けるスキルを身につけて、いくつになってもちゃんと社会と関わり続けたいという想いが強くあります。仮にまた環境が変わったとしても、軸をぶらさずに仕事を続けられる、これまでのキャリアが繋がっていると実感できた時が、本当の意味での転機なのかもしれませんね。
【Q】最後に就活生に向け応援メッセージを?
最近の就活生さんは、企業について綿密に調べたりノートに整理したり、非常に真面目に準備をしていらっしゃるなぁと思います。ただ、そういった準備はもちろん重要ですが、やはり面接での「会話」に強く意識を持っておくと良いのではと思います。少なくとも自分は、面接でのコミュニケーションをすごく大切にしていました。
事前に綿密に作った志望理由を、テクニックに乗せて流暢にぶつけるより、尋ねられたことに対して自分の意思や気持ちを正直に伝えたうえで、擦り合っているかどうかを判断することが大事だと思います。今の質問の背景はなんだろう? 今のは正しく伝わっているのか? そんな間合いを感じ取りながら、ちゃんと聞いてちゃんと話してこそ、自分に合う会社を見極められるのではないでしょうか。会社との出会い、そこで働く人たちとの出会いを、素直に楽しんでみるといいと思います。
マネーフォワードへ入社した当時、社内のメンバーといろいろと話す中で、「なぜ『マネーフォワード』に入ったのか?」を聞くと、ほぼ全員が「話をしたときの感覚が良かった」「面接でフィーリングが合った」って答えるんですよ。
そう笑いながら話す表情からは、今の環境、今の仕事との相性の良さが伝わってくる。
相手をより深く理解しようとする優しい“熱”が、相手の気持ちを溶かしながらファン意識を芽生えさせる。
仕事を繋げてきた高橋さんの「カウンセリング」マインドは、人をも次々と繋いでいる。
企業公式サイト http://corp.moneyforward.com
採用情報ページ https://recruit.moneyforward.com
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